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近くて遠い
第41章 けじめ
光瑠の言葉に真希は目を見開いた。



「なんだ、その顔は」


「だって光瑠さんっ…ガキは嫌いだって…」




真希の言葉を聞いて、ふんっと光瑠は鼻をならした。




「…………それは昔の話だ。」


「っ……」





びっくりしたあと、真希は思わず涙しそうになった。


わっきゃとはしゃぎながら光瑠に抱きつく隼人。






「……本当に…いいんですか……?」





楽しそうな様子を見て、真希の父が安心したように吐いた言葉に光瑠は頷いた。



「……でも、そしたらお父さん一人に……」



「…大丈夫だよ。父さんね、今の仕事すごく遣り甲斐があるんだ…。もちろん、寂しいのはあるけど…」




父はじっと見つめる真希の頭を撫でた。



「心配する必要はないよ。たまに会いに来てくれればいい。」



父の言葉に頷きながらも真希は依然として、不安な表情をしていた。




「あの…もし良かったら…」




気を使った光瑠が真希の父に同居を提案したが、父は首を横に振った。



「ありがたいけど…本当に今の仕事が気に入ってましてね。

この前の反省も含めて、今はコツコツと仕事をしたいんです。


ただ、子どもたちにたまに会わせてもらえますか?」



物腰柔らかなその言葉。


間違いを犯してしまったのは事実でも、彼はそんな自分と向き合っていて、とても前向きだった。


やはり、真希の父だ───



「もちろんです」


そんなことを思いながら、答えると真希の父はにこりと笑って、



「幸せになりな。」



と真希に言った。



「っ…うんっ……!
隼人と、たくさん会いに行くからっ…。
だから、お父さんもっ…頑張ってねっ…」



一度は崩れたようにみえた親子の絆。



だけど、崩れたようにみえただけでそんなに脆いものではなかった。



家族同士、幸せを祈りながら、笑い、瞳を濡らすと、真希は隼人を抱える光瑠の方に振り返った。




「……真希、隼人……うちに……うちに帰るぞ」




光瑠のその言葉に真希は満面の笑みを浮かべながら、大きく頷いた。
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