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不良の彼は 甘くて強引
第9章 再会:出会い
彼女の名は
九条紗織(くじょう さおり)
職業はピアニスト
海外での勉強も一段落して、再び日本に帰ってきたというわけである。
彼女と匠の出会いは、四年程前──
匠が高三の時にさかのぼる。
初めの出会いは、柚子の時と同じだ。
匠は、紗織の処女を奪った。
その時紗織は音楽大学の三年
それまでずっと大事にしてきたものを匠に無理やり奪われたのだ。
─────
「随分…久しぶりだな」
「そうね、あなたは…あまり変わってないからすぐわかったわ」
二人は都内にある小さな公園でベンチに腰を下ろした。
「あなた、まだあの大学に通っているの?」
「ああ……」
昼間の公園には人影は少なく、一人の老人が鳩に餌を与えている。
二人ともその老人を眺めながら、顔を合わせることもなく会話を続けていた。
「何故後をつけてきた」
「デパートで見かけた時は、すぐに声をかけようと思ったわ。でも…」
「・・・・」
「…可愛い子ね」
「…お前には関係ない」
「随分と幼い子に見えたけど」
「あいつは大学生だ…ああ見えてな」
匠は軽く鼻で笑った。
「あっ! 今、笑ったでしょ!!」
紗織に指摘されて、真顔に戻る匠。
「でもせっかくのデートだったのに、邪魔したみたいね」
「デートではない…それに、もともと用はあれだけだった。お前がいたから帰した訳じゃない」