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不良の彼は 甘くて強引
第10章 本心



匠の舌がゆっくりと引き抜かれた。


「どうだ、勝てそうか…?」


その顔は笑っていた。

涙目の柚子を試すように、熱い息をその顔に吹きかける。


「ハァ、ハァ、こんなの……!! 卑怯……っ」


なんとか反抗する柚子の唇を再び匠のものがふさぐ。


「…んあ…ダ…!」

「何か言ったか?」

「……んむっ……ハァ」


また同じように絡みついてくる。



ピチャ、ピチャ...




「ンぁ…ん…!…ハァ……」

「…ハァ、まだ………勝てそうか?」


匠の声は明らかに柚子を小馬鹿にしていた。

悔しがる柚子だが割入ってくる舌を押し戻せない。




「…ハァァ…あぁ…、ハァ、お願い…!!…ぁ……!」


柚子の口から微かに声が漏れる。



「何だ?…ハァ、言え……!!」


舌の動きはそのままに匠は問いただした。


柚子を捕らえる腕にさらに力が入り、華奢な彼女の身体は折れてしまいそうだ。




「あの…//」


彼女のその声には甘い響きが加わっていた。




「何だ…!!」


「…ぁ、その……っ」










「バイトに…ハァ…!! ぁ…行かせて、ください…!!!」








「・・・・」











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