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不良の彼は 甘くて強引
第13章 けじめの時

花火の音が止む。

同時に、ようやく匠の顔が首筋から離された。


「……ハァ…あ…」

甘い吐息を漏らしながら俯く彼女のうなじは益々色っぽい。


しばらく柚子はそのままの状態で動かなかった。
その肩だけが、小さく上下に動いている。



「…誰かに…見られてたらどうするんですか…!」


その声は僅かに怒っていた。


「…別に構わん、俺とお前は付き合ってることにされてるんだろう?」

しかし匠は悪びれる様子もない。



「付き合っていません!!」


匠の顔を見上げて精一杯の声を張り上げた。

突然の声のボリュームに匠も少々圧倒される。




──だが当然ながら

柚子に主導権が渡されることなどない。



「お前…この場で全て脱がして欲しいのか」


肩にまわされた手が襟を掴み、脅すように軽く引っ張った。

柚子は咄嗟に胸の前に手を組む。


「絶対に嫌…!」

「わがままな奴だ、…なら今の暴言にはどう落とし前をつける?」

「どうって…っ」

「俺に口答えしたんならそれなりの覚悟はあるんだろう?」



「そんなこと言われても…」


一瞬の威勢はどこへやら…

柚子はすっかり縮こまってしまった。



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