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不良の彼は 甘くて強引
第13章 けじめの時
どうやら柚子のその反応だけで匠は満足らしい。
「ゆっくり考えておけ」
そう言って彼女を抱き寄せたままベンチから立ち上がる。
そんな匠はどこまで本気でどこからふざけているのか…柚子は戸惑うしかなかった。
周りの学生たちは花火の終わりを皮切りに帰り始める。
「祭りも終わりだな…俺の家に来るか?」
匠の誘いに柚子は首をぶんぶん左右に振って返す。
「ふん…、なら駅まで送ってやる」
「…え」
匠は柚子を離し
驚く彼女を残して大股で歩いていくと
ぴたりと立ち止まり後ろを振り返った。
「何、そこで突っ立っている」
「……!」
「…来い!」
その声で、柚子は匠のもとに駆け寄る──
「じゃあここで…ありがとうございました」
駅の改札口に着いた二人。
「ああ」
匠は柚子のもとに近づくと、彼女の肩部分の浴衣を掴み軽く力を入れた。
「……!!」
「帰り道で…誰かに脱がされるなよ」
これは「気をつけて」を匠さんバージョンで言ったものだろうか…。
「はい…、おやすみなさい」
そんな事を感じた柚子には自然と笑みが浮かんでいた。
彼女の笑顔に
匠も同様に返す。
そして何も言わぬまま向きを変えて彼は駅を去って行った。