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不良の彼は 甘くて強引
第13章 けじめの時

「……ッ」

殴れ、という匠の言葉に
紗織は怒りに肩を震わせた。

歯を食いしばり、自分を見下ろす匠の顔を真正面から睨みつける。



「──…!!…、ふっ」


不意に

紗織は匠のシャツを離し
くるりと後ろに振り返った。



「殴れとか…バカじゃないの?…わたしはそんな子供じゃないわ」


「…そうか」


殴る様子を見せない彼女に
匠は背を向け立ち去ろうとした。




「待ちなさい」


「…何だ」



二人同時に振り返る。







「もし…3年前、わたしがあなたを受け入れていたなら……」



そこで、紗織の声は止まった。






.....





「──…そういう顔は別の男にとっておけ」




「……」




「俺の自尊心をくすぶるだけでは勿体無いからな」







そう言って、匠は





かつて愛した女に

最後の別れを告げた───。









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