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不良の彼は 甘くて強引
第16章 海
「……!!」
突然抱きついてきた柚子に
匠の無表情が一瞬崩れ去る。
「……柚子、邪魔だ」
「……ッ」
「離れろ…!」
「……!!」
柚子を引き剥がそうとする匠の手に、俯いたままの彼女は必死に抗った。
その目からは大粒の涙がこぼれ落ちる。
離れない柚子に、匠の声が苛立ちをみせはじめた。
「俺の邪魔をするな…!」
「…もうやめて下さい…!!」
「わからないのか?半端なことをしても何の意味もない」
柚子は匠を見上げた。
二人の目がバチリと合う。
「そう、こんな喧嘩…何の意味もありません…!!」
「……」
「もうやめて…!!!」
「……っ」
涙でぐしゃぐしゃになった彼女の頬に匠がそっと触れた。
彼の目つきが変わり、その顔が苦しげに歪む。
「……ハァ」
目を閉じた匠は
小さく溜め息をついた──