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不良の彼は 甘くて強引
第16章 海
匠は、立たせた男の顔面に
さらに拳を入れる。
柚子は思わず顔をそらした。
ぐったりと抵抗しなくなった男を引きずり、他の3人がうずくまる所へ放り投げると
匠は手近にいた一人の胸を思い切り踏みつけた。
「ぐはぁ!!……あ゙…!!」
その足に徐々に圧が加わり、男の口から鈍い呻き声が絞り出される。
「…ハァ、ハァ…」
口を切ったのか…僅かに出血した匠の顔は、無表情にその男を見下ろしていた。
「……!!」
その光景を見ている柚子の肩は、どんどん震えが大きくなっていくように見える。
「や、やめて…!!」
その震える唇から微かな声が漏れる。
「やめてあげて!!!」
柚子は精一杯叫んだ。
だが
匠にはその声が届かない。
「あ゙…っ…その足を、どけろ……!!」
別の一人が弱々しく訴える。
「…次はお前か」
匠の矛先がその男に移った。
たまらなくなった柚子は匠のもとへ駆けより──
「──もうダメ!!!」
横から思い切り彼に抱きついていた。