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不良の彼は 甘くて強引
第17章 深海の魔物

柚子は匠の作ったその隙間に慣れぬ手つきで舌を差し入れた。

昼間のキス…
その時の彼の舌使いをなるべく思い出してみる。



歯茎に沿って舌を這わせると、互いに開いた口からそれぞれの吐息が交換されていく。

表から、歯茎の裏側へ…

上顎には、彼女の舌では届かなかった。


上は諦めて奥まで舌を伸ばすと、待ち構えていたように絡みついてくる匠の舌。

だがその舌もいつものように強引に巻きついてはこない…。

必死な彼女をからかうように舌先で弄ぶ。



「……ぁぁ」


柚子はそんな匠の余裕さがつらかった。

匠の舌はさらに奥に入ってくるように彼女を誘い込む。



気づけば柚子の息はあがり、精一杯に口を開けて彼の舌を追いかけている。


これではすっかり匠のペースだ。



「ハァ……」


自らの口の中で不器用に動き回る柚子の舌に、匠は目を閉じたままその頬を緩める。



「んん…ッ」

柚子の口からは、もどかしげな声が絞り出された。




「──…」




“ そろそろ、時間切れだ ”





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