この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
不良の彼は 甘くて強引
第17章 深海の魔物
柚子は匠の作ったその隙間に慣れぬ手つきで舌を差し入れた。
昼間のキス…
その時の彼の舌使いをなるべく思い出してみる。
歯茎に沿って舌を這わせると、互いに開いた口からそれぞれの吐息が交換されていく。
表から、歯茎の裏側へ…
上顎には、彼女の舌では届かなかった。
上は諦めて奥まで舌を伸ばすと、待ち構えていたように絡みついてくる匠の舌。
だがその舌もいつものように強引に巻きついてはこない…。
必死な彼女をからかうように舌先で弄ぶ。
「……ぁぁ」
柚子はそんな匠の余裕さがつらかった。
匠の舌はさらに奥に入ってくるように彼女を誘い込む。
気づけば柚子の息はあがり、精一杯に口を開けて彼の舌を追いかけている。
これではすっかり匠のペースだ。
「ハァ……」
自らの口の中で不器用に動き回る柚子の舌に、匠は目を閉じたままその頬を緩める。
「んん…ッ」
柚子の口からは、もどかしげな声が絞り出された。
「──…」
“ そろそろ、時間切れだ ”