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不良の彼は 甘くて強引
第18章 因縁
「…もうっ」
匠が去った後
電車に揺られる柚子。
彼のことを知れば知るほど、わたしはなんて男を好きになってしまったのかと後悔してもしきれない。
人として、最低…!!
それに中学生とかならまだしも彼は立派な大人だ。
言うことにいちいち現実味があって怖くて仕方がない。
──…なのに、あのキスがいけない。
彼への軽蔑も恐怖も全部、彼の唇が洗い流してしまう。
避けられてるように感じて寂しいことがあっても、途端にどうでもよくなる。
キスがしにくいからマスクをとれと言ったのは彼。
まだまだわたしは彼の手の内で翻弄されっぱなしだ…。
「悔しい…!」
足下を見つめたまま地団太を踏む彼女を、周りの乗客が不思議そうに見下ろしていた。