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不良の彼は 甘くて強引
第20章 すれ違いは…
匠は決して、女の扱いが下手な訳ではなかった。
優しくしようと思えばいくらでもできる。
今まで何人もの女を口説き落としてきた匠にとっては、それは造作もないことだ。
“だが柚子に限ってはそれができない……!!”
柚子に必要な男は
あの茶髪のような人間──
俺は、そんな人間を嫌悪するように生きてきた。
あの日から、ずっとだ。
親父が死んだのをきっかけに、久しく忘れていたことを思い出したさ。
俺とお前の価値観は…正反対。
柚子
お前がその腕にしがみついた男は…
お前には一生理解することのできない異常者だ…。
駐輪場へついた匠はバイクを荒々しく引っ張り出し、当たり前にヘルメットを被らずに走り去った。
頭の中で反復する柚子の声をかき消すように、目一杯のギアを回して──