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不良の彼は 甘くて強引
第21章 弱者は弱いか

「……グスッ…っ…ふ…!…」

「…少しは…落ち着いた?」


肩をヒクつかせる柚子と、
そんな彼女を抱き寄せる翔

二人はまだ、膝を地につけたままだった。


翔は彼女が落ち着くよう、落ち着くよう…

ゆったりとしたリズムを刻んで柚子の背中を優しく叩いていた。



「…ごめんなさいッ」

「……何で、謝るんだ」

「…だって、先輩は助けてくれたのに…迷惑かけて…!」


ひとしきり涙を流した後、翔への謝罪を始めた柚子

翔は彼女の両肩を掴んでその顔を覗き込んだ。



「…助けたのは俺じゃない。市ノ瀬だ……」

「…ッ……!」

「…でしょ?」

「……ぅん」


にっこりと微笑みを浮かべて聞いてくる翔に、彼女は大きく頷く。


やっと笑ってくれたな…


彼は柚子を支えながら立ち上がる。


「…あまりここでこうしていると、いつ人が来てもおかしくないからね」

「…グスッ」

「こんな所を見られたら…、また新しい噂を流されてしまう」

「…先輩も聞いてますか…」


やはり三上先輩の耳にも入ってるんだ…

柚子は切ない笑みを浮かべる。


「…もちろん、……まぁ仕方のないことだ」

「…そっか」

「ましてやこんな大学…、今までずっと彼氏彼女を作らずに勉強しかしてこなかった連中の集まりだ」

「……」

「許してやりな…」


何故か関係のない翔が申し訳なさそうに言う。


変なの…

柚子はクスリと笑った。




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