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不良の彼は 甘くて強引
第21章 弱者は弱いか
ピューーー…
幽かな窓風が首もとに吹き付け、その窓のサッシと同じように、校舎内の人間たちの身体をカタカタと震えさせる。
柚子がいつも座っていたベンチ。
その場所を周囲から隠していた木々の葉はもう枯れ果て、すっかりなくなってしまっていた。
そこは自然の息吹が彼女に暖かい季節だけに与えていた、一時的な隠れ家だったようだ。
「──…」
彼女は建物の中から奪われた隠れ家を眺めている。
広いカフェテリア。
寒さの伝わる窓側の席は、誰もが座るのを嫌がる場所だ。
でも柚子は、外の景色を一望できるその位置が好きだった。
そこで彼女はベンチに座ってしていたようにノートを開き、いつも通り勉学に励む。
…柚子はもともと、勉強が好きなのだから。
でも今の彼女は全くそれに身が入らない…。