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不良の彼は 甘くて強引
第21章 弱者は弱いか
───
「だから!! 俺は女相手だと本気出せないんだよ!!」
二度も柚子に投げ飛ばされたことで男のプライドを傷つけられた修一は、ふてくされて叫んでいた。
「ごめんなさい!!」
「あやまんなッ!!!」
彼女たちが自分の事を職場にばらしに来たと疑っていた修一は、そうでない事を知って取り敢えず落ち着く。
翔もいれた三人で、周囲の人間と離れた場所に腰をおろした。
「…お前の名前は知ってる、柚子だろう?匠から聞いているからな」
「わたしも…あなたの事は伺っています」
昔からの悪友だということ
ここで働いているということ
いつだったか
彼がわたしに話したから。
「……」
翔は黙って眉をひそめる。
市ノ瀬の親友だと柚子が言っていたから、もっと違う男を想像していたが
これではまるで……。
「…匠の真逆だと思ってんだろう」
翔の考えを読み取った修一。
言い当てられて、翔は正直に答える。
「……よくわかったね」
「…お前の顔見りゃあな」
「?」
二人に挟まれた位置に座る柚子は、前を通りぬけて交錯する意味ありげなその視線にそわそわと落ち着かない。
「…俺は匠とは似ても似つかねぇ。だから互いに妬むものも、ぶつかるものも何もない……」
「あ、…なるほど」
柚子は納得する。
「お前は…──」
修一は翔から目を離さずに続けた。
「…お前は違うな、匠と真逆なのは俺と同じかもしれないが、……互いに妬みまくりだろう」
ニヤリと笑う。
「…そう…見えるかい?」
翔の顔にも、妖しい笑みが浮かんだ。