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不良の彼は 甘くて強引
第21章 弱者は弱いか


「例えば…同じものを欲しがっていがみ合ってるとか?」

「どうだろうね…」

カマを掛ける修一をさらりとかわす翔。


修一は別に、匠から翔のことを事前に聞いていたわけではないが

彼は一瞬で見抜いた。


翔の柚子への想い……

それだけではない


こいつは間違いなく
匠と張り合えるレベルの男。


匠にとっては
とことん気に食わない種類の人間だろうがな…。






「…あの!!」


二人の雰囲気がおかしな方向に向かい始めているのを察知した柚子は、その視線の間に割り込んだ。



「何だよお前、いきなり立ち上がりやがって…」

「あ、いや……何でもッ」

慌てて座り直す。


「今日は…! 匠さんのことで教えて欲しいことがあって」

本題を切り出した。



「何で俺が教えなきゃいけねぇんだよ、匠に直接聞けばいいだろうが」

「そ、うなんですけど…」

「あっ!?」


言葉を詰まらせる彼女に、翔が助け船を出す。


「…彼は今、彼女と話そうとしない。たしか十一月の初めごろからだ」

「……?」

「…だがその理由が俺たちにはわからない、…君が何か知っているなら教えてくれ」


極めて簡潔な質問。


修一は少々驚いた顔をした。



「…?…会ってないのか」

「……」

柚子はコクリと頷いた。


「どーりで……最近のあいつ殺気立ってると思ったらそういうことかよ…」


面倒くさそうな溜め息をついた後、少し考え込む。



十一月の初め…

その時期はちょうど…

匠の親父さんが死んだころだな。


「お前は…匠のことはどこまで知ってんだよ」




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