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不良の彼は 甘くて強引
第21章 弱者は弱いか
「──仕方がないだろう…市ノ瀬は面食いなんだ」
「…あっ」
自分を囲んで騒ぎ立てる女たちの隙間から、翔がこちらを向いて立っているのが見えた。
「あら…三上くん」
後ろを振り向いた彼女たちは
予想外の人物の登場に、声のトーンを一つも二つも上げて言う。
「市ノ瀬さんが面食いってどういうことよっ」
「…文字通りだよ?…だから君たちにチャンスはないさ」
「なっ…!!」
「別の男で頑張ればいい」
遠回しなようで
随分ストレートな言い方。
かなりむっとした様子の彼女たちの表情を柚子はひやひやしながら見守っていた。
「三上くんそれ酷くない!?」
「私たちが可愛くないって言いたいの?」
修羅場だわ……
こわっ
「別にそんなことは…で、もういいかな?俺、矢崎さんに用があるんだ」
「・・・!!」
熱くなる彼女たちに反比例して落ち着いた声色になっていく翔の様子に、ついに白旗が上がった。
不満あり気な顔で去っていく女たち。
「困った人たちだ…」
翔による追っ払い作戦は完了した。