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不良の彼は 甘くて強引
第21章 弱者は弱いか
検索後に出てきたのは
多数の論文や学会の案内。
日付を見ると…随分と昔のページのようだが。
「この、市ノ瀬 総一郎という人は……」
柚子は各記事の見出しに書かれた名前に目をやる。
市ノ瀬ということは、つまり
「おそらく、彼の父親だろうね」
「やっぱり…」
翔が見出しのひとつを開くと、彼によって作られてきた論文の内容が詳しく書かれていた。
医学用語はほとんどわからない柚子だったが、非常に高く評価を受けているのは感じられる。
「ここまでとは俺も驚いた、…心臓外科の第一人者のひとりだよ。論文も多く出してきたようだし、学会も沢山持っていたみたいだ」
「そうみたいですね…」
本当にこの人が匠さんの親だとしたら、…彼のカリスマ性も頷けるというもの。
「──…だがそれも、七年前で止まっている」
次の学会の案内を見ると、確かに七年前の日付が最後になっていた。
「病気か、事故にあったのでしょうか」
そして脳死の状態に…?
「……」
柚子の問いかけに、翔は僅かに表情を重くした。
「…先輩?」
「ここには書かれていない…けど、別の記事によると……、この医師は、自殺を謀っていた」
「…ッ!?」
「七年前に、自殺未遂だ」