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不良の彼は 甘くて強引
第23章 お前を喰わせろ
『〇〇大学病院、心臓外科、市ノ瀬医師の記者会見が行われました。6歳という幼い命が奪われてしまった今回の……───』
──…プツ
真っ暗な部屋
「…ふん、くだらない…」
着崩したシャツに学ランを羽織った青年が、誰もいないリビングへ鞄を放り投げた。
中学から帰ってきたばかりの彼はつけっぱなしのテレビを切って再び家を出る。
「ねぇ…匠さん?」
「……」
近所の人間が、怯えながらも彼に声をかけてきた。
「…お父様のことはもうご存じ?」
「……?」
「大学の研究室で…、今、お母様が慌てて病院へ向かったわ。あなたも……───」
「・・・・」
─────
あんたは、強者だった筈だ
『患者さんの喜ぶ顔をみたいから、私は医者になったんだぞ、匠』
あの減らず口だけは我慢ならなかったが、それでも俺は…
あんたの実力は認めていた。
『非常にリスクは高いが仕方がない…、私以外の医師は誰一人やろうとしないから』
だが結局…
あんたは負けたのか
─────