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不良の彼は 甘くて強引
第23章 お前を喰わせろ
すでに日も暮れ…
街路樹たちの伸びた影が路地を通りアパートへと歩く彼の影を丸ごと飲み込み、その表情をも周囲から覆い隠す。
ふと横に目をやると、公園で馬鹿騒ぎする高校生の集団
それを睨む彼の瞳に殺意の色が浮かぶ。
「…腐った連中だ」
────
『──…では、愛する我が子を奪われたご両親の言葉をここで紹介します。先ずお父様から………』
我こそが正義だと言わんばかりの、いかにも気の毒そうな顔つきをした記者たち
息子の美談を涙を流して語る母親
くだらない
だが、それで奴らが満足ならば勝手にすればいい…
手術で馬鹿をしたのは確かに
あいつなのだからな。
権力には責任が伴うもの
ならばあいつが責任をとることになるのも、いたって自然なことだ。
“なのに、何故だ……!!”
あいつが自殺未遂をしたと知った途端
あの親たちは慌てて訴えを取り消した。
あれだけ騒ぎ立てていたマスコミまで、一気に口を閉ざし大人しくなった。
どういうことだ…!!
それがお前らの正義だったのだろう…!?
ならば何故…訴訟を取り下げる…
俺の父親を自殺に追いやっておきながら……!!