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不良の彼は 甘くて強引
第24章 蜜なる時間

その目が──わたしを更におかしくする。

わたしの胸の高鳴りを激しくする……。


匠の瞳に射止められたまま…

彼の指が与える疼きを必死にこらえる彼女の唇からは甘美な溜め息が途切れない。

溢れる蜜は、匠の手のひらに滴るほどであった。


「…ハァ……ああッん…」

目も開けられなくなった柚子は苦しげに顔を伏せ
"瞳"の呪縛から逃れようとする。


でも……

もうダメだ………



「…辛く……ないッ」

「……」

「…あなたが…好きだから……!」


…やめないで



消え入りそうなその声を聞いた匠の指がしばし止まった。

柚子が恐る恐る顔をあげれば
相変わらずの、自分に向けられた眼差し。



……とろけそうなほどに


優しい眼差し。




「…きゃッ」


腰を捕らえていた腕が柚子の肩にがっしりと回され、背後から強く抱きしめられる。

もう一方の手が彼女の顎を掴み横に向かせると

「んッ……」

情熱的な接吻が与えられた。




……好きだから

辛くない


「…ハァ……柚子…!」

僅かにできた隙間から発せられた、どこか余裕のなさげなその声。

こちらも彼の名を呼びたかったが、それを許さぬ熱い唇がすぐさま吸い付いてくる。

口の中で互いの吐息が交換される。

彼の舌には……まだ幽かに彼女の蜜の味が残っていた。



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