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不良の彼は 甘くて強引
第25章 温もり


出掛ける準備をする匠

…そうはいっても、その動物園は本当に近場だったのでとくに持っていくようなものは無かった。


もともと鞄一つで来た柚子も同様だ。





「あ…、ちょっと待って下さい」


玄関で靴を履いた彼を柚子が引き止めた。



「…何だ」

「もしかして…バイクで行くんですか?」


当然だろう

そう返した匠。



「なら…」

柚子は意を決して言う。


「ヘルメットの無着用は駄目です」



その言葉を聞いて、ドアに伸ばされた彼の手が止まる。



「…あんなものは必要ない」

「必要だから義務づけられているんです! …事故した時の最後の頼みですよ」

「俺は事故など起こさない…」

「その気で起こす人はいませんから…」

「・・・・」

「……っ」



今日の彼女は譲らない。



先に折れたのは匠だ。




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