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不良の彼は 甘くて強引
第26章 連鎖

手首と足首を逃げられないよう軽めに縛られ

猿ぐつわを噛まされた柚子は

それでも男たちを睨んでいた。


「まぁいい…、材料がそろわねぇと何の料理もできねぇし」

「どうすんだ健吾」

「ここは寒いだろう、…俺はいいから下で見張ってろよ」


どうやらここは二階のようだった。暖房設備など何もない工場より、車内で見張っている方がよほど暖かい。


健吾…と呼ばれた男に促され、もう一人の男は重たい扉を開けて部屋を後にした。



ガチャ....



男が出て行ったその後ろで
扉の鍵がおろされる。






「……お前は寒くねぇのか」


振り向いた健吾は薄ら笑いを浮かべて、ガタガタと震える彼女の元へ歩く。


その震えは、寒さか恐怖か。


「あっためてやろうか?」


馬鹿にした口調で話しかけながら彼女の足元に座り込んだ。





「…海では世話んなったな」


「……んん…っ」


思い出した、この人たち…!

夏に匠さんと海に行った時の──

そして目の前にいるのは、まぎれもなくわたしが頭突きをくらわせた張本人だ。




……復讐



「──…」



柚子の顔が青ざめていく。





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