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不良の彼は 甘くて強引
第4章 目覚め
「どうかした?」
美佳ちゃん…
「ううん何でもないよ。…なんか変だったかな?」
「いや、なんかボーっとしてたから?元気ないんかなぁっとね!」
「ふふ、優しい。でも大丈夫!! ちょっと講義が眠たかったな~なんてっ」
大げさに欠伸の真似をしてみせる柚子。
「そういえばさ、さっき教授がレポートがどうのこうの…」
そのまま談笑する柚子と美佳。
そこへもう一つの影が加わった。
「あ、奈々」
「どうしたの?」
「先輩がね、柚子ちゃんを呼んどったけん」
わたしを?
「……先輩って?」
「市ノ瀬先輩、知り合いでしょ?」
──…知らない
いくら人の名前覚えるの苦手だからって、ピンともこないなんてありえるかしら。
「その人どこにいるの?」
「うーんと……ついて来てもらったんじゃけど…」
講義終わりの教室は、人の出入りが激しい。
「……!! あ、いたいた、あの先輩だよ柚子ちゃん! ……?……柚子ちゃん?」
凍りつく柚子
確かに、友人の指差す方には知り合いがいた…。
出入り口の壁に背を預けて立っている。
その顔に
悪魔の微笑みを浮かべて──。