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不良の彼は 甘くて強引
第4章 目覚め






「では今日はここまで、レポート提出の事もしっかり念頭において……」




教授の話をろくに聞かず、帰り支度を始める生徒たち。



柚子は板書を写し終わり座ったままその光景を眺めていた。


結局丸一日、勉強も何もろくに手につかぬままだった。



ただ当たり前と言えば当たり前の事で…

むしろ、こうしていつも通り月曜には大学に通っている方が驚きである。


彼女はそれほど傷ついていないということだろうか?




いや、そんな筈はない



「そんな筈はないわ…っ」



あの時の犯される恐怖は、思い出しただけでガタガタと震えが止まらなくなるほどだ。


そして、あの底知れぬ悔しさ

平気なわけがない。




なのに、何故だろう──


四年前のあの事件……あの時の記憶を思い出すと、そこにあるのは痛みや苦しみでしかないのに


今回は違う。


痛みや苦しみ、恐怖や悔しさの中に、何か…違うものが潜んでいるのだ。



そんな考えがぐるぐると、頭から離れないでいる。



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