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不良の彼は 甘くて強引
第28章 失った免罪符


「…はぁ…」


講義終わりの教室

隣の席でつかれた盛大な溜め息。


「どうかした?奈々ちゃん。課題のこと?」


いつもの彼女らしくないテンションに驚いた柚子は、心配した様子で尋ねる。



「ううん、そういうわけじゃないんじゃけど…」

「…何か嫌なことがあったとか?」

「うーん」

「?」


席に突っ伏してしまった奈々を不思議そうに覗き込んだ。



「実は、奈々がね…」

後ろに座っていた友人たちが柚子に話しかける。


「法学科の先輩で好きな人ができたの」

「そうだったの?」

「…うん」

奈々はぼそりと白状した。



「なら…落ち込んでるのって…」

ふられちゃったとか


「違う違う。奈々の好きな先輩、4年なのよ。もうすぐ会えなくなるのよ」

「…ああ、なるほど」

「だから早く告白しときなって言ってるのに~」

「そうだよー。連絡先聞いときなって!!」

「無理だよぉ」


周りを囲む友人たちに口々にそそのかされ、奈々は突っ伏したまま首をふる。


柚子はどう声をかけたものか迷いながらその様子を眺めていた。



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