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不良の彼は 甘くて強引
第28章 失った免罪符

反対側に座っている美佳を見れば、やれやれといった表情で笑っていた。


「…でも、院は?その先輩は大学院には行かないの?」


大学院は隣接しているため、すぐそこにある。

とくに支障にはならないと思うが……。


「大学院は行かないみたいなんよ……」

「…そうなの…」


頑張って


自分でも何を頑張れというのかよくわからないが、落ち込む彼女にそう言うしかなかった。



「も~早くしないともうすぐ卒業しちゃうよ!?」


鞄を手にした柚子は、そんな具合に盛り上がる彼女たちに簡単に声をかけて講義室をあとにした。





────





「…柚子はいいの?」

「わたし…?」


廊下に出た彼女に横を歩く美佳が問いかけた。



匠さんのこと…だよね。

でも確か、医学部は6年制だったからまだ…


「知らなかったの?…医学部は5年目からこのキャンパスじゃなくなるわ」

「…!?…そうなの?」

「臨床授業があるから、大学病院と隣接した場所に移るのよ」

「……!」


知らなかった…。

他学部のことはほとんどわからないから。



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