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不良の彼は 甘くて強引
第28章 失った免罪符
「届けにきたのか…」
匠は紙袋に手を伸ばし、その届け物を受け取ろうとする。
しかし、彼の手が掴む直前
ハッとした柚子は慌てて紙袋を抱え込んだ。
「…どうした?俺に返すために持ってきたんじゃないのか」
「…駄目…!」
袋を匠に取られまいと庇うように抱きかかえる柚子の姿に、彼は可笑しそうに笑う。
「…何が駄目なんだ。それは俺の物だろう」
「──…ッ」
「早く渡せ…」
「…いやっ!」
匠の手が袋にかかった途端、柚子は感情的に袋を奪い取った。
理解できない彼女の行動に匠は少々面食らう。
「どうした…──」
「……!」
もともとは、返すために持ってきていたのだ。いつ会えるともわからず、毎日毎日…
でも
渡せない。