この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
不良の彼は 甘くて強引
第28章 失った免罪符
「茶髪が俺に何のようだ…」
苛立ちを隠せない匠。
「名字ぐらいは覚えてくれないか? 俺は三上だ」
「……立ち聞きとはいい趣味だな」
「こう…ドアを開けっ放しで話されたらね…」
嫌でも聞こえるさ
翔はクスリと笑った。
「……っ…!」
みるみるうちに不機嫌さを帯びてきた目つきで翔を一睨みすると、匠はそのまま立ち去ろうとする。
そんな彼の背後に、翔の問いが掛けられた。
「あの子を手放すなんて、随分と今更じゃないか」
「……ッ」
匠の足が止まり
振り向くことはないままに言い捨てた。
「…お前の知ったことか」
「君の心中を…察することはできるけどね」
立ち止まった匠の後ろ姿に
翔は落ち着いた口調で話を続けた。