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第28章 失った免罪符

「これ以上…、彼女を傷つけてしまうことが怖いのかい」

「──…よくわかっているじゃないか」


俺の過去を知られた以上、柚子の心に揺らぎが生じるのは当然のこと。

そして、その揺らぎに悩み苦しまずにはいられない…あいつのｸｿ真面目な性格も…

俺はよく知っている。


できることは、あいつを俺から解放すること、手放してやることだけだ…。




「あいつの本心に、俺の過去は受け止めきれない」


このまま

…揺らぎすぎるそれを
俺は壊すことになるだろう。




再び歩きだそうとした彼の動きは


「…理由はそれだけでは、ないんだろう」


翔の一言で止まった。