この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
不良の彼は 甘くて強引
第28章 失った免罪符



「…あいつといると俺は罪を償うどころか、救われてしまう」


「……」


「それが怖くて俺は柚子を手放した。……とでもいいたいのか?」


そう言った匠は不敵に笑った顔を翔に向ける。

だがたとえ口角が上がっていようとも、その瞳は依然として鋭さを帯びたまま…ゾクリと背筋の寒くなるような眼差しを向けていた。



「それほど俺が柔な人間に見えるか」


「……」


同様に妖しく笑ってみせた翔は、僅かな怯みもみせず微動だにしない。




「勝手な推論も程々にしておけ」


つくづく…気に食わない彼の表情だったが、もはや匠に、いちいち苛つく余裕はなかった。

これといった捨て台詞も浮かばない。



「…あいつを駅まで…、お前が見送れ」



瞬きと同時に窓に流された匠の目線。


……外は暗く、切ない。


彼は皺だらけの紙袋を鞄とともに肩に引っさげ立ち去った。







「……」


その後ろ姿を見やる翔の目が細まり、短く溜め息がこぼされた。



愛することは、こんなにも人間を臆病にする。



恨みや憎しみのほうが
彼にはよっぽどラクな感情だったろうな──







/694ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ