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不良の彼は 甘くて強引
第30章 君、想い…
二人が霊宝殿を出た時には、閉館時刻を十分ほど過ぎていた。
「弥勒様とはしっかりお話できましたかな?」
「ええ、お陰様で…」
係の男に謝る柚子と翔に
若者が仏像に関心を持ってくれるのは嬉しい限りだと、その男性は笑った。
「…とても親切なおじさんだね」
「本当に…」
誰もいない石畳を門に向かって歩きながら、翔は隣を歩く柚子に話しかける。
「俺が君を連れてきた目的はこれだけだ。…わざわざこんな遠くまで悪かったね」
「いいえ、すごく…感謝しています」
柚子は心からそう思っていた。