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不良の彼は 甘くて強引
第30章 君、想い…

手で顔を覆ったまま
翔の歯がギリリと音をたてた。


「……っ」


俺はいったい何がしたいんだ。


ただ…悩む柚子の助けになりたかった。自分を頼ってくる彼女を放っておけなかった。


だから彼女を導いた。




そうして君が市ノ瀬を選んだとしても…

それが君の望みなら──

君を悲しませることなら

この想い…隠し通してみせると。





“…なのに ”



この想いは薄まるどころか
日を追うごとに増え続ける一方じゃないか。




「……、市ノ瀬を責める権利がどこにある…?」



天を仰ぐ彼の口元に皮肉げな笑みが浮かぶ。



彼もまた、眠れぬ夜に苦しんでいた。



ベッドに身を倒した彼を毎晩のように襲う
決して赦されない悪夢──



それは…禁忌の行為。





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