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不良の彼は 甘くて強引
第30章 君、想い…






「──この辺りかな…。君のアパートはどの道?」


大きな通りから一本入り
ひとまず道の隅に車を駐車する。


正確な場所がわからない翔は隣の彼女に聞いた。




「…柚子ちゃん?」


「……」





……スー、スー




エンジン音の止まった車内で小さく寝息が聴こえる。


「着いたよ?」


声のボリュームをあげて呼び掛けてみるが…返事はなかった。



「…」


彼女の顔を覗き込み、眠ったその表情を切なげな眼差しで見つめる。




「……夢でも…見ているのかい?」



柚子の穏やかなその表情…

微かに口元が笑っているようにも思える。



夢の相手は誰だろうか



「……」



市ノ瀬か……?





「……っ」


眉を寄せた翔の瞳が揺らいだ途端、顔をしかめた彼は柚子から目を離し

背もたれに寄りかかるように天を仰いだ。




顔を覆うように左手を重ね

手の下の彼の顔が苦しげに歪む。





.......







「…油断しすぎだよ。…柚子……!!」









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