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不良の彼は 甘くて強引
第5章 なぜここにいるの
「……ぅむ」
吸い付くような優しいキス
緩んだ口の隙間からゆっくりと舌が差し込まれた。
匠の雰囲気の変わりように呆気にとられていた柚子は、無意識の内にその舌を受け入れてしまう。
「……ん!」
気付いた時にはもう彼の舌はわたしのそれと絡み合おうとしていた。
だけど今のわたしは流石にそんな気分には到底なれない。
ついさっき、友人を人質に脅しをかけてきたばかりだというのに…!!
「ッ…ハア……っ…」
顔を背けたくても
顎を掴む手はびくともしない…!
“卑怯者…卑怯者ッ…”
もう頭の中はぐちゃぐちゃだ…
先ほどまでこの男に感じていた嫌悪も軽蔑も、この舌が全部溶かしてしまう
わたしは、そうなってしまうのが何より恐ろしかった。
だけれど…
そんなわたしの思いとは裏腹に、口内を犯す舌の甘い刺激に身体中の血が熱くなっていくのを感じてしまう。
「泣きやんだのか」
匠は唇を離し、その切れ長の目でまっすぐ柚子の瞳を見つめる。
顎を固定され強制的に上を向かされている彼女は、潤んだ眼差しをその目に返した。
「俺に逆らうな……」
.......
そして
甘い接吻は再開された。