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不良の彼は 甘くて強引
第31章 それぞれの選択
…ガチャ
柚子のアパート前に止まった車の扉が開く。
運転席を出た翔はそのまま反対側に回り込み、助手席のドアを開けた。
「…ありがとうございます」
中から出てきた柚子はそう礼を言って、そうして真っ直ぐ彼を見上げた。
「…礼なんて、言わないでくれ」
顔を背けた翔は空を見上げて目を細める。
美しい夜空はまるでプラネタリウム
何故この夜に限って…彼等はこれほどに輝くのか。
「……」
翔はもう一度彼女に向き直った。
「本当に…すまなかったね」
「……」
「許してくれとは言わない」
そんなこと、言える筈もない。
「…いいえ」
柚子は首を横に振る。
「今までに何度も助けてもらったのに…、先輩を嫌いになったらバチがあたります」
…嫌いになんてなれない。