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不良の彼は 甘くて強引
第31章 それぞれの選択
柚子はゆっくりとした足取りでエントランスまで歩き彼の方へ振り返る。
翔はその場から動かずにじっとこちらを見つめていた。
「…ところで、君の…市ノ瀬への気持ちは決まったのかい」
「……!」
匠さんへの…気持ち
柚子は声を潜めて控えめに答えた。
もう…夜も遅くなっていたから。
「…まだ…わかりません」
幽かに微笑む。
「でも、先輩が連れて行って下さった京都で…わたしの気持ちは少しだけ、楽になれました」
「…そうか」
「はい…」
上手く言葉にできないけれど、きっと、わたしはこの相反する想いに向き合うことができる。
「あと…もう少し、…自分自身で考えてみます」
「……」
たどたどしく答える彼女の言葉に、翔は静かに耳をかしている。