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不良の彼は 甘くて強引
第31章 それぞれの選択
彼女を離した翔は、その額に軽くキスをする。
「…じゃあ、おやすみ」
「……」
別れを告げる彼の穏やかな声色が柚子を再び包み込んだ。
「…おやすみなさい」
ありがとう…優しい先輩
わたしはいつもあなたに支えられてきました。
何でも受け止めてくれるあなたにずっと甘えてきました。
きっと……
もし、匠さんに会わなかったら
わたしは…
あなたに恋をしていただろう
そう、思います──
向きを変えた柚子はアパートへ歩く。
一度も振り返ることなく、彼女はエントランスを抜けていった。
「……」
車に背を預け
翔はその後ろ姿を黙って見送った。
俺にもまだ、やるべきことが残っているみたいだ。
「…さようなら、……柚子」
俺が君のためにできることは
たったひとつ───