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不良の彼は 甘くて強引
第31章 それぞれの選択
「…懐かしいな」
指の上でクルクルと回してみる。
…少し下手になったか。
──匠がバスケをしていたのは中学の三年間。
面倒ではあったが…
それほど嫌いでもなかった。
スポーツでも喧嘩でも、勝つことは好きだった。
負けることなど、考えたこともない。
「……、あいつとの勝負には負けたがな…」
匠はボールを持ったままゴール下から離れる。
2、3回その場でドリブルをしてみた後にそれを片手で思い切り投げた。
かなりの勢いでバックボードにぶち当たったそのボールは、大きく音を立ててネットの中へと跳ね返る。
「──…」
地面に落ちて数回バウンドしたボールは次第に勢いを失って…やがてピタリと止まった。
そして、止まったそれを…
別の男が拾い上げる。