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不良の彼は 甘くて強引
第31章 それぞれの選択


「……っ」

「柚子には俺が必要だと…そう言ったかい…!?」


どこまで君たちは俺をないがしろにする気だ…。


「…彼女の待ち人が…、俺だと…!…本気で思っているのか…!!」



このまま市ノ瀬がいなくなれば…

あの子がどれほどの傷を抱えることになるか──

そのことに、市ノ瀬はまだ気が付かないのか。






…君の事情なんて



この際、たいして重要じゃあない……!







翔は襟を掴む手に力を込め
二人の顔がさらに近づいた。


彼の勢いにたじろぐ匠は、その手をどかそうともせずに押し黙っている。


翔は怒りに声を震わせながら
ゆっくりと言葉を続けた──






「彼女の心が揺れ動き…見えない答えに苦しむなら…っ…、俺はそれを見守るし、導く手助けをするだろう。………だがな」


「……」


「君の迷いなど、俺のしったことじゃない……。答えが出るまで待つ気なんてこれっぽっちも無いからな…!!」


「…何だと?」



翔の言葉に反応して、匠は彼の服を掴みかえして睨み据えた。



だがそれで…翔が怯みを見せることはない。






「 君に許された迷いはこの二択だ。…俺が彼女の身体を奪ったことに怒りを感じるか

──…何も感じないか。

…もし君が後者だというのなら、…俺はもう一度、彼女を全力で奪いにいくぞ……!! 」





いい加減

自分の想いに向き合え…


罪の意識があるなら

最後まで責任を果たして消えるべきだ。



柚子の心を奪った…


その責任を───。







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