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不良の彼は 甘くて強引
第32章 湧き立つ想い



「お前を黙らせるには…これが一番なようだな」


唇を離した匠は、今度はそのまま彼女の顔を覗き込んでいた。

鼻と鼻がつきそうな程の…
その距離で

二人は互いを見つめ合う。



「……」


唇をキュッと結んだ柚子は、匠の言葉をじっと待った。


自分の言いたいことは…もう言えたから

あとは返事を待つだけだった。





匠はというと──



「…ッ」



軽く歯を食いしばり


首を絞められていた後遺症か……自身の心臓の音がいつもより強く響いているのを感じていた。



速まる鼓動は、自らが興奮状態にあると錯覚をおこさせるというが──



「──ふっ…」




今の俺が

そうなのか?





匠は、掴んだ柚子の手首をゆっくり上げていき

彼女の頭上でひとまとめに捕らえた。


そうして空いた方の手で
柚子の顎を掴み固定する──





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