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第32章 湧き立つ想い

「それでも俺は…お前を逃がさない…!!」





「……!!」


柚子の目が見開かれる。




「俺を憎もうが嫌おうが…すでにお前は」


…容赦はしない。


「俺のものだ」


「…!」


「…俺の女だ」


「…っ」


「──…それで満足か」




顔を動かせない柚子は
代わりに瞼を落として頷いた。





「憎しみの感情に…嘘をつく必要はない」

「──…」

「…赦しをこう必要も、お前にはない」

「…っ」

「そんなものは関係なしに…っ…俺が、お前を無理やりに奪い取ってやる。…それで満足なのか…!?」



俺が決して逃がさない。

だからお前は安心して、己の正義を貫けばいい。

俺の過去を憎めばいい。



「…はい…ｯ」


柚子の口から

素直に返事がこぼれた。




「なら…!!」


「…ん…ｯ」





匠は再び…噛みつくようにキスをする。





「二度とその肌を…!! 他の男に触らせるな」

「……ｯ!」

「決して油断をするな…!!」

「…っ…ごめんなさい」



彼の手は、柚子の手首を痛いほどに握り締め──






「──…柚子」




彼女の名を口の中でかみ殺した匠は


壁に押しつけていたその身体を一気に抱え上げた。