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不良の彼は 甘くて強引
第35章 エピローグ
時刻は午後の四時ごろ──
日が暮れるにはまだ早い。
冬に葉の落ちた木々は春の訪れに合わせて新芽を出し、ベンチを覆うように木洩れ日を作っていた。
「……?」
カラカラと音をたてながら転がってきた空き缶が、柚子の足下でピタリ止まる。
どこか──
自分と重なって見える
そんな風に感じた。
なんとなしに時が過ぎ去る中で、わたしはずっと、どこか遠くを想って過ごしてきた。
そんな地に足つかぬ気持ちのまま、毎日毎日…
気づいたらわたしは、あの時のあなたと同い年になっていました。
二十歳の誕生日も
成人式も終わった。
「…あれから二年……、もう……経ったのに」
あなたはまだ、帰ってこない───。