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不良の彼は 甘くて強引
第7章 愛か怒りか苛立ちか
「下ろしてください……」
校舎から出た所で、やっと柚子は口を開いた。
その言葉を匠は無視して歩き続ける。
「自分で…歩きますから」
「黙れ」
彼女の訴えを突き放す。
「……」
柚子はこれ以上言うのを諦め、素直にその広い背中に身体を預けることにした。
初めて身を任せる男の背中は
彼女が思っていたよりも遥かに広く、逞しく、そして安心感がある──
匠は駐輪場へ行きバイクを引っ張り出してそれに跨る。
柚子も後ろに跨らせ
「手を離すなよ。離したら、死ぬぞ」
走り出した。
───
二人を乗せたバイクは風を切って走った。
バイクに乗るのも初めての柚子は、少し怯えて匠の腰に回した腕に力を込める。
「……」
柚子は匠の背中に顔をうずめる。
そのうち、彼女の手が細かく震えだしたことに
匠は…気づかぬ振りをしていた。