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不良の彼は 甘くて強引
第7章 愛か怒りか苛立ちか



キキッ--



しばらく走って匠はバイクを止めた。



「ここ……」

「俺の家だ」


おそらくまだ新しい、小綺麗なマンション


「……あ、あの」


てっきり自分の家に送ってくれると思っていた柚子は戸惑った。だがよく考えてみたら彼が自分の家を知るはずもなく…。


バイクから降ろされた柚子は、どうしたものかとフラフラしている。

匠はそんな彼女の腕を掴むと強引に引っ張った。


「こい」

「え!?……い、やッ」


抵抗の様子を見せる彼女に匠は面倒くさそうに怒鳴りつけた。


「いいから…こい!!」


「ひッ!! ……え?きゃあ!!」


初めて聞いた匠の怒鳴り声に身をすくめた柚子を、彼は一気に抱えあげた。


エントランスに入っていく。


「あの!降ろして下さい!」

「少し黙れ……」

「あの…ッ」

怖いのと照れ臭いのとで、柚子は喋ることができない。


エントランスをぬけると彼は階段を昇り始めた。



「…っ」


柚子の心臓がバクバクいっている。


それが恐怖なのか緊張なのかよくわからないが、曲がりにもせよお姫様抱っこをされているのであるから…全く時めかないというのは無理かもしれなかった。


だが流石に、部屋の前で匠が鍵を開け始めるころには柚子は危機感を感じていた。




「あの…! やっぱりわたし、自分で帰ります!!!」


「もう遅い──」



鍵を開けた匠は嫌がる彼女を家に連れ込み

勢いよくドアが閉められた。





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