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不良の彼は 甘くて強引
第2章 運命の日
「ふうぅー、疲れた…」
講義が終わり座ったまま伸びをする柚子。
「ねー、柚子ちゃん」
「うん?ええっと…」
「奈々だよ!な・な!」
ああっ、そうだったそうだった!
ごめんね、人の名前覚えるの苦手で……
そう弁解する柚子。
そのまま会話ははずみ
奈々は驚きの声をあげる。
「柚子ちゃん、まだサークル決めてないん!?」
「うん、そう…なんだよね」
「習い事とかしてるん?」
「いゃあー……」
してた、実は。
「勉強ばっかりじゃあダメじゃけんね。また決まったら教えて」
ちなみに、広島出身の奈々ちゃんは可愛い広島弁。
バイバーイと手を振って奈々ちゃんはダンスサークルの練習に行ってしまった。
ダンス…いいなぁ
彼女は運動が苦手なわけではない。むしろ、昔から運動神経は良い方だったし。
「──…」
あの事件の後──
高校生になった彼女が習い始めたのは
合気道だった。
ようするに護身術。
だからと言って何かの役に立つわけでもないし、実際、習った技を教室の外で誰かに使ったことは一度もない。
あの事件への、これが彼女なりの向き合いかただったのかもしれない。
もともとの運動神経の良さと " 真面目 " な性格が手伝って彼女の技術はみるみる上がっていき…
気づけば 教室で一番になっていた。
華奢に見える体は実はしなやかな筋肉に覆われていることを、高校の友達は誰も知らなかったであろう。