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レモンティーな朝焼け―母娘調教―
第31章 Pホテル
「わかりました・・・」

タバコを消しながら、低い声で呟いている。

「データは、すぐに消しましょう・・・」

意外な事に男は承諾した。

だが、余りにもあっさりした態度に香奈子は大きな声を出した。

「そんな事・・・・信用出来るわけないじゃないっ」

口で言うのはたやすい。

データ等はいくらでもコピーして保存出来るではないか。

今更ながら、馬鹿げた提案をした自分に腹をたてていた。

瞳が潤んだ顔は今にも泣き出しそうに見える。

そのジレンマに香奈子は、やはり訴えるしかないと悟った。

只、それによって矢島家は崩壊し、愛する圭子とも別れなけらばならないと思うと、身を切られる思いがする。

「困ったなぁ・・・」

竹内は、はぐらかすように笑みを浮かべた。

「何なら、誓約書を書いてもいいのですが」

何を言われても白々しくて、不信感がつのる。

「う、嘘・・・・又、私を騙すのでしょう?」

言葉を遮ると、更にきつい口調でののしった。

「卑怯者っ・・・・あ、あなたなんか大嫌いっ」

甲高い声は何人かの人を振り返らせ、ラウンジに緊張が走った。

しかし、香奈子を見つめたまま微動だにしない男の態度に、再び喧騒が蘇っていく。
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