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レモンティーな朝焼け―母娘調教―
第32章 思い出づくり
『やあ、美しいお嬢さんだ・・・』

その場の雰囲気を一瞬で掴む呼吸を心得ているらしく、不自然さを感じさせない口調は流石だった。

『今夜のゲストはさる財閥の奥様だそうです』

もっともらしく言う説明は勿論、偽りだったが興奮したギャラリー達には真実味を帯びて聞こえていた。

『まだお若いのですが、お子様も一人いらっしゃるそうなんですよ』

『おお・・・』

人妻と聞いて、男達はいろめきたった。

このショーに集まる客達にとって、素人臭いほうが返って新鮮に感じるのである。

無垢で世間知らずの人妻が、隠微に調教される事を想像するだけで興奮を呼ぶらしい。

『さる大会社の社長である旦那様とは、ここ何年もセックスしていないらしくて、欲求不満が溜まっているとのことです』

(フフフ・・・・)

わざとらしい口上に、竹内は笑いをかみ殺していた。

ギャラリー達も全てを信じている訳ではないだろうが、妙に信憑性があるのはモデルがあるからだろう。

それは今、隣に座っている香奈子の事をそのまま説明しているに過ぎないからだった。
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