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レモンティーな朝焼け―母娘調教―
第16章 媚薬
それでも、何とか感情を抑えながら言った。

「よ、良かったですね・・・・それでは」

ドアを開け帰るのを促すのだが、男は立ち上がる気配を見せない。

「いやっー、焦ったなあ・・・・暑い、喉がカラカラだ」

それどころか、上着を脱ぎ始めているではないか。

「スミマセン・・・・何か冷たいものでも頂けませんか?」

明るい口調は絶妙な間合いで、香奈子の機先を制する。

「は、はい・・・」

断る事も出来ずに、仕方なくダイニングに向かった。

「まったく、何て、図々しいのかしら」

イライラした仕草で冷蔵庫から取り出したペットボトルのお茶を、グラスに注いでいる。

「どうぞ・・・・」

応接室に戻り、グラスをテーブルに置きながら、無意識に自分の分も運んできた事に気づくと心の中で舌打ちをした。

いくら朝の早い時間とはいえ、誰もいない家に二人きりでいる事に不安を抱いていた。

夫の友人であるが、竹内には油断出来ないと思っている。

現に今、香奈子を見つめる目は蛇のように邪悪な企みを宿しているように感じるのだ。

まさか襲う筈はないと思うのだが、飲んだら直ぐに帰ってもらおうとみまがえていると、男が内ポケットからタバコを取り出しながらニヤッと笑った。
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