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嵐の夜に痕をつけられて
第6章 相沢の謝罪
「ああ、お疲れ様です。
さっき外から戻ってきたんですよ。何ですか?」
亮太は私の手を離さず目線だけそちらにやって答えた。誰が見ても異様な雰囲気だ。
「先輩はここに……立川に何か用ですか?」
明らかに挑発する口調に亮太の苛立ちを感じる。
背後から聞こえる声の主がどういう顔をしているのかも分からない。
「お前こそこんなところで呑気にしてて大丈夫なのか?
お前が午後から外回りに出る前に慌てて課長に出した入力票、あれに前田重工宛ての資料が紛れてたのってわざと?」
「えっ……」
亮太の顔が一瞬で強張る。
「先月騒いでたろ。送っただの受け取ってないだの言って。
結局課長が向こうに頭下げるだけで済んだけど、明日課長に説明できるんだろうな」
「なんっ……」
「さっきまで課長が部長にずっと呼ばれてたから、とりあえず明日朝イチで課長の所に行けよ。
俺はお前の尻拭いをしてる他部署の社員に一言謝りに来ただけだ」
そう言いながら部屋の中に入ってきた彼は、私の後ろで止まった。
亮太は何も言えずに睨みつけている。
私を掴む手はいつの間にかほどけていた。
「立川がいつまでも思い通りになると思うなよ」
「くっ……」
亮太の顔が引きつる。
「立川、帰るぞ」
「は、はい」
そう言って彼は私の腕を取って部屋の外へと連れ出した。
優しい、温かい手。見慣れた後ろ姿。
さっきまですごく怖かったのに、今はこの手が嬉しくてたまらない。相沢さんに連れられ、そのまま会社を一緒に出た。
さっき外から戻ってきたんですよ。何ですか?」
亮太は私の手を離さず目線だけそちらにやって答えた。誰が見ても異様な雰囲気だ。
「先輩はここに……立川に何か用ですか?」
明らかに挑発する口調に亮太の苛立ちを感じる。
背後から聞こえる声の主がどういう顔をしているのかも分からない。
「お前こそこんなところで呑気にしてて大丈夫なのか?
お前が午後から外回りに出る前に慌てて課長に出した入力票、あれに前田重工宛ての資料が紛れてたのってわざと?」
「えっ……」
亮太の顔が一瞬で強張る。
「先月騒いでたろ。送っただの受け取ってないだの言って。
結局課長が向こうに頭下げるだけで済んだけど、明日課長に説明できるんだろうな」
「なんっ……」
「さっきまで課長が部長にずっと呼ばれてたから、とりあえず明日朝イチで課長の所に行けよ。
俺はお前の尻拭いをしてる他部署の社員に一言謝りに来ただけだ」
そう言いながら部屋の中に入ってきた彼は、私の後ろで止まった。
亮太は何も言えずに睨みつけている。
私を掴む手はいつの間にかほどけていた。
「立川がいつまでも思い通りになると思うなよ」
「くっ……」
亮太の顔が引きつる。
「立川、帰るぞ」
「は、はい」
そう言って彼は私の腕を取って部屋の外へと連れ出した。
優しい、温かい手。見慣れた後ろ姿。
さっきまですごく怖かったのに、今はこの手が嬉しくてたまらない。相沢さんに連れられ、そのまま会社を一緒に出た。