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αお姉ちゃんとΩ妹ちゃん
第2章 日常
出先で体調を崩した、と麻子から連絡があった。すぐに迎えに行こうとしたが、私の家のすぐ近くにいるというので心配になりながらも待つこと5分ほど、チャイムが鳴った。
玄関先に立つ麻子の気だるげに火照った顔が、ただ熱があるからなのか発情のせいなのかは匂いですぐに分かる。今の麻子からは、明らかにフェロモンの香りがしていた。麻子自身もそれを分かっていないはずがない。
「汗ひどいね……シャワー浴びる? それともすぐ横になる? 着替えも準備してあるよ。」
「……シャワー、借りていい?」
荒い呼吸を抑えながら、か細い声で麻子が言う。風呂場まで肩を支えようと麻子に触れると、びくっと震えた。構わず両肩をつかんで、ゆっくりと風呂場に誘導した。
「何かあったらボタン押して呼んでね」
麻子は震えながら、黙って頷いた。

強めの抑制剤を飲んでいる麻子が、不意に発情するというのはほぼあり得ない。たまにふざけたαがわざと街中でフェロモンを撒き散らして、感受性の強いΩが苦しむところを嘲笑ったり、ひどいと暴行をはたらくことがある。今回も恐らくそれだ。だから一人で出歩かせたくないのだが、βの両親はその危険性を考えようともせず、自分の娘は大丈夫だと思い込んで麻子に何も行動の制限をつけない。麻子からすれば悪いことではないのかもしれないが、このような事態が今日初めてではないことを考えると、両親の無責任さに腹が立つ。私が家を出てからも、麻子が頻繁に自分を頼ってくれるからまだいいが、いつどこで何が起こるか分からない恐怖は消えない。

「お姉ちゃん、服……」
風呂場から、私の用意したワンピース型のパジャマを身につけた麻子が出てきた。足どりがおぼつかない。
「サイズ合ってるね。かわいい」
「そうじゃなくて、下……」
「ズボン? ショートパンツならあるけど、今いる?」
パジャマといっても、丈はかなり短めだ。何か言いたげだが言葉に詰まる麻子を、ソファに誘った。
「ここ、座って」
私に手を引かれるがまま、麻子が私の右手の上に腰を下ろす。手の甲が、下着越しに秘部に触れる。
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